建設・住宅・不動産

社員の意識が変わることで、残業時間が2割削減

株式会社鴻池組
経営管理総轄本部 管理本部
執行役員副本部長
鈴木 善教 様
デジタル戦略室
デジタル戦略部長
橋本 諭 様
経営管理総轄本部 経営戦略本部
情報システム部 業務システム課
主任
木下 麻希 様
大阪本店 事務管理部
建築管理課
夏山 香 様

株式会社鴻池組は1871(明治4)年の創業以来、社是である「誠実、懇切、敏速」の精神にのっとり、もの創りを通じて人々が安心して暮らせる社会の実現を目指している老舗ゼネコンです。

働き方改革関連法の前から、残業抑制に取り組んでいました。しかし、現場の意識改革だけでは奏功せず、模索を続けていました。そんな折、「direct Smart Working Solution」(以下、「SWS」)と出会い、残業時間の2割削減を実現しました。成功の要因はどこにあったのか、お話を伺いました。

残業抑制の周知徹底を実施したが、社員の意識を変えるだけでは残業時間は減らず、
パソコンを制御する「SWS」の導入を検討

長時間労働が建設業界としての課題だったこともあり、2018年から残業抑制に本格的に取り組んできました。最初はパソコンのログを管理し、出勤簿とのズレを補正することからはじめました。パソコンを私用で使わないようにする、使い終わったパソコンは速やかに電源を落とすなどを周知しました。

そんな中、2019年に働き方改革関連法が施行されます。建設業では2024年までに法対応を進めなければなりません。そこで、長時間労働の抑制を急ピッチで進める必要が生じました。先ほど述べた周知徹底に加え、会社の幹部が事務所を回って意見交換をするなど、社内の意識改革を進めました。

しかし、そうした意識改革だけでは残業抑制の効果は限定的で、残業時間は思っていたほど減りません。そこでもう一歩踏み込んで、決まった時間にパソコンにロックをかけ一旦操作できないようにするのがよいだろうと考え、「SWS」の導入を検討することになりました。

導入の決め手は、社員それぞれの残業を個別に管理できること

実は「SWS」を導入する前に、パソコンをシャットダウンさせる簡易的なシステムを使っていました。便利な面もあったのですが、パソコンの使用者が残業の意思表示をすると仕事を続けられるものだったので、あまり意識改革にはつながりませんでした。実際にログで管理している時間を見ても、残業抑制の効果はそれほど大きくなかったんです。

そんな中、ビジネスチャット「direct」とセットで使える「SWS」を知りました。情報システム部が残業抑制システムを探していたときに、他の会社で「SWS」を使っている事例をお聞きしたんです。

「SWS」が魅力的だった点としては、上司の許可のない残業を制限し、許可にもとづいた残業とする仕組みが作れることが挙げられます。時間になったら一斉にパソコンをロックしてしまうシステムはよくありますが、その仕組みは弊社にとって重要でした。

また弊社の場合は建設業ですので、夜勤で働く人もいます。夜勤の人がこれから業務なのに、パソコンをシャットダウンされたら困ります。その点、時間の調整や申請をすればロック解除ができる「SWS」を選びました。

すべての残業を禁止するのではなく、必要な残業はできる仕組み

ほとんどの全社員に「SWS」を導入しています。国際事業部の現場を除いた社員なので、アカウント数でいえば2,000くらいでしょうか。

運用方法としては、一定時間を超えた分を申請するようにしています。逆に、ある程度の残業時間は「direct」上の申請は不要で許容しています。たとえば17時が定時の人の場合、19時までは自己申告で残業してもいいけれど、それ以降は上長の許可がなければ残業は不可といった形です。実際に、「今日はそこまでやらなくていいよ」ということであれば申請が却下されることもあります。

申請は事前に「direct」を通しておこなっています。ロックがかかってからではなく、あらかじめ申請するようにしています。ロックがかかってから「SWS」を通して申請することもできるのですが、現場の人は「direct」を使い慣れていることもあり、そちらのほうが勝手がよいようです。

なお、承認者は社内ルールで複数人を指定することになっています。承認者が不在だから残業できないといった事態はほとんどありません。

画面イメージ
設定時間になると従業員のパソコン画面にロックがかかります。※写真はイメージ図です。

「SWS」の導入で従業員の意識改革が進み、残業時間が2割減

「SWS」を導入してから2年半ほど経つのですが、ログ時間が大幅に減りました。当初残していたログはパソコン本体の起動時間をもとにしていたため厳密な業務時間は分からないのですが、実際の残業時間としても2割程度の削減につながっているのではないかと思います。

残業時間半期別推移グラフ
「SWS」の導入後、鴻池組で働く従業員の残業時間が大幅に短縮

残業が減った要因としては、意識改革が本当の意味で進んだことが大きいと思います。もともと理由のない残業はなかったのですが、時間を強く意識することで、それぞれの社員は仕事のやり方を変えたり自分の中でピッチを上げたりしています。「SWS」であれば残業申請の際に上長に目安の時間を伝える必要があるわけですが、「あと何時間で仕事を終わらせます」と宣言する効果は大きいのではないでしょうか。

もちろん残業時間が減った分、残業代も減っています。しかしその分、賞与額を上げることで社員に還元するようにしています。全体で見れば、年収ベースではむしろ上がっていると思います。

ビジネスチャット「direct」と一緒に使うことで、社内コミュニケーションも活性化

「direct」と「SWS」をセットで使うことで、相乗効果で利用が進んでいます。「direct」のようなコミュニケーションツールを浸透させるときによくある話なのですが、使ってくださいと言うだけではなかなか使ってくれないということもよくあります。

しかし現状の運用であれば、残業申請で「direct」を使うことになります。それをきっかけに「direct」でのコミュニケーションも活性化されているようです。「SWS」での残業抑制が「direct」での活発なコミュニケーションにつながっていて、相乗効果が発揮されていることを感じます。

※記載内容は2022年4月時点のものです。